ギャンブル依存症
依存症としての病理の本質は、アルコール依存症やその他の依存症と変わりません。
すなわち、ギャンブルをやり出したらお金がなくなるか、店が閉まるまで止まらない(コントロール喪失:loss of control)、ギャンブルをやりたくて、やりたくなるとどうにもならず抑えられない気持ち(渇望:craving)が見られます。このコントロール喪失、渇望はどの依存症でも中核的な症状と言えます。
アルコール依存との違いは、身体疾患の合併や身体的な離脱症状がないことが挙げられます。それゆえ本人、家族ともに病気であると認識できず、数々の社会問題をひきおこしてしまいます。
ギャンブル依存に特徴的な症状として挙げられるのは、借金と嘘です。
ギャンブルをするために生活費をつぎこんで行うが、底をついてしまうとサラ金などに借金をして雪だるま式に増えていきます。また家族に対して嘘をつくようになります。そして、その借金を返すために何としてもギャンブルで取り戻さなければという考えに支配され、さらにのめり込んでしまうという悪循環に陥ります。とうとう自分ではどうすることもできなくなったり、怪しい行動に家族の者が気づいたりすることで、借金の存在が明るみに出ます。アルコール依存で起こる家庭問題と同様に、家庭での役割は失われ、ケンカが絶えず、子どもへの悪影響も見られます。
ご家族の対応として、決して借金の肩代わりをすることはいいことではありません。むしろ本人の行動を助長してしまいます。
ギャンブル依存かどうかを知るうえでも以下の質問があります。7項目以上当てはまれば病気です。
病的ギャンブラーの自助グループ(GA)での20の質問
- ギャンブルのために、仕事や学業がおろそかになることがありましたか?
- ギャンブルのために、家庭が不幸になることがありましたか?
- ギャンブルのために、評判が悪くなることがありましたか?
- ギャンブルをしたあとで、自責の念を感じることがありましたか?
- 借金を払うためのお金を工面するためや、お金に困っている時に、何とかしようとしてギャンブルをすることがありましたか?
- ギャンブルのために、意欲や能率が落ちることがありましたか?
- 負けた後で、すぐにまたやって、負けを取り戻さなければと思うことがありましたか?
- 勝った後で、すぐにまたやって、もっと勝ちたいという強い欲求を感じることがありましたか?
- 一文なしになるまで、ギャンブルをすることがよくありましたか?
- ギャンブルの資金を作るために、借金をすることがありましたか?
- ギャンブルの資金を作るために、自分や家族のものを売ることがありましたか?
- 正常な支払のために、ギャンブルの元手を使うのを渋ることがありましたか?
- ギャンブルのために、家族の幸せを顧みないようになることがありましたか?
- 予定していたよりも長く、ギャンブルをしてしまうことがありましたか?
- 悩みやトラブルから逃げようとして、ギャンブルをすることがありましたか?
- ギャンブルの資金を工面するために、法律に触れることをしたか、しようと考えることがありましたか?
- ギャンブルのために不眠になることがありましたか?
- 口論や失望や欲求不満のために、ギャンブルをしたいという衝動にかられたことがありましたか?
- 良いことがあると、2,3時間ギャンブルをして祝おうという欲求が起きることがありましたか?
- ギャンブルが原因で自殺しようと考えることがありましたか?
治療
定期的な通院とグループワークを中心とした勉強会を進めていきます。また地域の自助グループへの参加を進めていきます。