ADHD(注意欠如・多動性障害)
2008年に公開された日本の「ADHDの診断・治療指針に関する研究会」によるガイドラインではADHDを「不注意、多動性、衝動性の3種の主症状によって定義され、基本的には生来的な脳機能障害が発現の主要因である精神障害を意味している。また発達障害を構成する一障害と位置付けられている」と述べられています。
不注意症状
物事の全体像を見ようとする前に動いてしまい、取り組んでいる作業で細部を見逃すケアレスミスが多い。仕事がずさんでいいかげん。講義や会話、もしくは長文を読むことに集中し続けるのが難しい。話しかけられても聞いていないように見える。仕事を始めてもすぐに集中を失い、すぐに脇道にそれる、そのために学業、用事あるいは職場での義務を最後までやり遂げられない。整理整頓が苦手、身の回りを散らかしてしまう、遅刻の多さや仕事を時間通りに終わらせることができない。学業や宿題を避ける、嫌う、いやいや行う。レポートを作成したり、書類を作ったり、長い文章を検討したりすることを避ける、嫌う。モノをすぐになくす。周囲からの刺激によってすぐに気が散ってしまう。用事を忘れる。約束を守ることを忘れる。
多動性症状
手足をそわそわ動かし、椅子の上でもじもじする。教室などでじっと座っていられない。頻回に職場の自分の席を立ち離れる。会議や研修会の場にとどまることができない。
しばしば不適切な状況で、走り回ったり、高いところによじ登ったりする。落ち着かない感じ。しばしばしゃべりすぎる。
衝動性症状
授業中など先生の指名がある前に出し抜けに答えてしまう。会話の場面で必要以上に他者の発言に割り込み、その終了を待たずに話しはじめてしまう。順番を待てない。割り込んでしまう。列に並ぶことを不適切なほど回避する。人のものを許可なく使い始める。他人が行っていることに割って入る、取り上げてしまったりする。
治療
日本のガイドラインでは、治療目標をADHDの3主症状が完全になくなることに置くのではなく、それらの症状の改善に伴い学校や家庭、職場における悪循環的な不適応状態が好転し、その症状を自己の人格特性として折り合えることを目指すべきとしています。
また自己の特性を理解し、対処方法を身につけていくために、周囲に良き理解者、支援者を得ることも大切です。
薬物療法としては、現在、ストラテラ、コンサータ錠がADHDの適応になっています。